ブレイキングバッド【シーズン3・6話】のネタバレ解説&感想、キャスト、あらすじをまとめています!
文字通りブレイキングバッド【シーズン3・6話】のネタバレ解説&感想なので、まだ内容を知りたくない方は1.2のキャストとあらすじだけ確認して本編をご覧ください。
また独自の着眼点に基づいた解説や感想になっているので、共感する部分や見解が異なる部分が混合してあるかと思いますが、純粋に一致や差異を楽しんでいただけたら幸いです!
※前話のネタバレ解説&感想からチェックしたい方はこちらからどうぞ。
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】のキャスト
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】の主なキャストは8人です。
※前話までのそれぞれのキャストの行動も簡単に書いています。
ウォルター・ホワイト
高校の化学教師。妻・スカイラーと子供・フリンとホリーを持つ一家の主。スカイラーからの信頼を完全に失い、クリスタルメスの製造を二度としないと誓うも、ガスの巧みな説得により、再び麻薬ビジネスの世界に引き戻されていく。離婚届にサインをする。
スカイラー・ホワイト
ウォルターの妻。子供が2人。マリーの姉。マリーの電話をきっかけに、テッドとの不倫を辞めて、完全拒否していたウォルターの気持ちを推し量るようになる。
ハンク・シュレイダー
マリーの夫。ウォルターの義理の弟。DEA(麻薬取締局)の捜査官。ゴメスがエルパソに代わりに派遣されることを知り、ハイゼンベルク逮捕に向けてより捜査にのめり込む。
マリー・シュレイダー
スカイラーの妹。ハンクの妻。治療放射線技師として病院で勤務。虚栄心が強く、性格はふさぎがち。内面から崩れていくハンクをフォローしようとするも、自尊心を保持しようとする頑なな態度にどうすることもできず、スカイラーに相談する。
ジェシー・ピンクマン
ジャンキー。麻薬の売人。ウォルターの元教え子で麻薬ビジネスのパートナー。ウォルターを引き戻したガスから取引を中断される。
ソウル・グッドマン
犯罪に強い弁護士。下品な冗談をまくしたてる口達者な男。ジェシーとガスの取引の仲介をつとめていたが、ウォルター復帰により、ジェシーとの取引を切る。
ガス・フリング
ジョスポジョスのオーナー。麻薬ビジネスの元締め。ウォルターを説得して、麻薬製造をしてもらうことになる。
ゲイル・ベティカー
ウォルターの新しい助手。ホイットマンの詩を愛するちょっと変わったオタク。
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】のあらすじ
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】のあらすじを確認しましょう。
ガスと取引を再開したウォルターは、新しい助手ゲイル・ベティカーとともに、地下製造所でクリスタルメスをつくり始める。化学に精通したゲイルの理解はとても早く、作業の捗りもいい。この上ない製造環境に、ウォルターは満足感を覚える。しかし、ウォルターの知らないところで、ハンクの捜査の手はジェシーのキャンピングカーにまで届きそうになっていた。ハンクから電話をもらって、ジェシーの車が押収される危機に直面していることを知ったウォルターは、焦って車の処理に出かける。それを耳にしたジェシーは、ウォルターが車を奪おうとしているのだと勘違いして、ハンクに見張られていることはつゆ知らず、急いで車を保管している廃車場へと走り出す。3人の男たちがキャンピングカーのもとへそれぞれの思惑と疑いを胸に集まっていく。
ここから先はネタバレを含んだ独自の解説や感想になります。
本編を見る前に内容を知るのは嫌だ!と言う方は、本編をご覧になってからここから先をお読みください。
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】のネタバレ解説
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】の解説ポイントは2つあります。(ネタバレ込み)
※あくまで独自の解説です。
- ウォルターが荒野に佇む山の絵を見つめていた理由は?
- 詩「天文学者に話を聞いた時」の意味は?
ウォルターが荒野に佇む山の絵を見つめていた理由は?
6話のイントロ後の初めに、ウォルターが家の壁に掛けてある一枚の絵を見つめるシーンがあります。
赤土に覆われた峻険な山の全体像を少し遠方から描いたような画角の絵です。
ウォルターは、特に言葉に感想を漏らすこともなく絵を見つめ、不動産屋の営業マンに話しかけられると、すぐに絵から視線を移し、その後、絵を忘れたように話し込みます。
一見なんともない場面ですが、この絵のイメージが今のウォルターの状況や心模様と重なり合うがゆえに、ウォルターはこの絵を無意識にもつかのま鑑賞してしまうように、僕には思われてならないんです。
ウォルターは麻薬ビジネスから足を洗い、もとの人里の中の生活に戻ろうとしました。
法律があり、慣習があり、理性があり、人の息を感じることのできる世界で、正式な家族の一員として人生を歩もうとしました。
しかしウォルターは、ガスに素晴らしい化学設備の整った地下製造所を見せられ、また男としての役割を力説されると、再び麻薬ビジネスの世界に足を踏み入れることになります。
それは言ってみれば、人里離れた荒野の峻険な山の世界に足を踏み入れるようなものです。
法律もなければ、慣習も薄い、理性よりも自然の驚異が猛威をふるい、人の潤いも温かみも感じることのできない血なまぐさい赤い大地の世界です。
この絵はそういうウォルターの状況や心模様をうまく表現しており、だからこそウォルターはある種の魅力を感じ、わずかの間でも絵に見とれるのだと思います。
ゲイルの好きな詩「天文学者に話を聞いた時」の意味は?
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」※ウォルターと握手をするゲイル
6話では、ウォルターは新しい助手のゲイルとともにクリスタルメスの製造を始めます。
ゲイルは素晴らしい経歴の持ち主で、X線結晶学の修士号まで取得しています。
専門分野がまったく一緒のウォルターとゲイルは意気投合して、製造も捗り、お互いに話題もつきません。
そんな有能なゲイルに対して、ウォルターはクリスタルメスの製造をするようになった経緯を聞きます。
ゲイルは化学者を志していましたが、いろいろなことが起こり、気がつくと化学とはまったく関係のない仕事に就いていました。
自由主義者で、欲求を尊重し、魔法のような魅力を持つ化学を愛するハンクは、どのような形であれ自分の脳力を最大限に発揮できる化学に関わる仕事をしたかったのです。
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」※ウォルターに詩を聞かせるゲイル
経緯を語ったあと、ゲイルはウォルターにホイットマンの詩「天文学者の話を聞いた時」を聞かせます。
ある男が天文学者の話を聞いています。学者は図を描いたり、グラフを見せたり、数字を足したり割ったりしています。話を聞く他の聴衆は学者を称賛しています。しかしある男は話を聞いているうちに、疲れてきて気分が悪くなってきました。そこで外に出て、神秘的な空気の中をあてもなくさまよいました。そしてしんとした完璧な静寂の中で星空を見上げました。
詩のざっくりした内容はこんな感じです。
ゲイルはこの詩を初めから終わりまで暗唱できるほど好きなようです。
この詩の中の天文学者はおそらく星の運行やなんやらの客観的な事実を数式や図を使って証明しています。
そしておそらくそれは学問的に素晴らしい達成なのでしょう。ほとんどの聴衆が称賛しているのですから。
しかしある男はそれに共感できず、辟易さえしています。
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」※ゲイルの詩を聞いた後のウォルター
男は星の運行の客観的な証明よりも、完璧な静寂の上で魔法のように輝く星そのものがもたらす詩境に感動を覚えるのです。あるいはそれこそが真実だと感じるのです。
ゲイルがこの詩を好きなのは、ゲイル自身もこの詩の男のように、化学のもたらす詩境(ゲイルの言葉で言うなら”魔法”)にこそ、化学の本質的な魅力(真実)があると信じているからです。
ゲイルにとって、アカデミックな功績は重要ではなく、また合法であることは大事なことではなく、クリスタルメスの製造でこの化学の魔法を目にし続けることが大事なことなんです。
その危うくも深い本意を、ゲイルは詩を読むことによってウォルターに伝えようとしています。
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】のネタバレ感想
ブレイキングバッド【シーズン3・6話】を視聴してみて、ウォルターとジェシーとハンクの3人、そして双子の殺し屋が、それぞれの意図や目的を持って行動するがゆえに、1つの地点に集まり、衝突しようとしている有様に、ハラハラどきどきしました。(ネタバレ込み)
- 異なる心を持った人々が1つに集まり、衝突しようとしている様が絶妙
異なる心を持った人々が1つに集まり、衝突しようとしている様が絶妙
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」※ハンクの暗殺を許可するガス
ブレイキングバッドはそれぞれのキャラクターが物語の筋のために消費される道具としてではなく、生身の体と心を持つ1人の人間として描かれている点において魅力的である一方、
その生身の人間がおのおの自分の人生を自立的に推進していくことで、互いに絡み合い、複雑かつ大きな物語を編み上げていく点においても魅力的である。
というのが僕の漠然としたブレイキングバッド愛の1つの言語化になるのですが、6話では後半の部分、人生が互いに絡み合い大きな物語に発展していく様が見えてきたのが印象的でした。
麻薬カルテルの双子の殺し屋、ガス、ハンク、ウォルター、ジェシーが大きな物語の中へ自ら吸い込まれるように入り込んでいくあたり、今後も見どころになる予感がプンプンしています。
楽しみです。
