天気の子が公開されてから数日が立ちましたが、公開を見た人の中では、すでに評価の低い人と高い人に分かれているようですね。
監督の新海誠さんの前作「君の名は。」は、莫大な人気を博して、またたく間に海外でも話題になりましたから、今回の最新作「天気の子」には多くの人が期待と注目を寄せていると思います。
そこで気になってくるのが、「天気の子」がどういうふうに評価されているのか?ということですよね。
ということで、今回の記事では、天気の子の評価が低い人や高い人のレビュー、また海外の反応、そして個人的に「天気の子」を見た結果、抱いた感想をネタバレなしの形でまとめています。
順番に見ていきましょう!
天気の子は評価が割れることを前提にしていた?
監督の新海誠さんは、「天気の子」の評価は割れる、ということを想定して今回の映画製作に励んでいたようなんです。
日経エンタテインメントの8月号のインタビューでは、天気の子に対する思いをこのようにおっしゃっていました。
『君の名は。』の次ですから、興行的にも超メジャーなものになります。であれば、多くの人々の価値観が対立するような映画を作りたい。見てくれた誰かと誰かの価値観と価値観がぶつかるような映画でなければいけない、とも考えました。
もともと僕の作品は、ファンの方が見てくれて、見るはずのない人たちは見ないタイプの映画でした。ところが『君の名は。』で観客のスケールが大きくなったことで、『天気の子』は、本来、僕の映画を見ない人たちも見てくれる可能性があるわけです。想定していなかった人とも、きっと不可避に出会ってしまう
引用元:WEZZY
このインタビュー内容を拝見する限り、天気の子の評価には低いものも出てくるだろう、という考えを新海誠さんが持っていることが伺えます。むしろ、そういう意見を進んで受け入れていこうとする印象を受けますね。
天気の子の評価は?
新海誠さんは評価が割れることを想定していたようですが、実際のところ、天気の子の評価がどのようになっているのか、気になりますよね。
ここでは、2018年7月28日現在の
映画.com、Filmarks、Yahoo!映画、coco、の4つの映画評価サイトを参考にしています。
それぞれの評価を見てみると、
映画.com | 3.8 |
Filmarks | 3.9 |
Yahoo!映画 | 3.84 |
coco | 満足度76% |
ということになっています。
上3つの映画評価サイトの平均で言うと、3.84になりますね!
ちなみに、前回作の「君の名は。」の評価を見てみると、
映画.com | 4.0 |
Filmarks | 3.9 |
Yahoo!映画 | 4.12 |
coco | 満足度83% |
ということなので、現時点では「君の名は。」の方が評価は高いようですね。
それでも、天気の子の評価は低い、とも決して言い切れない数値ではあるような気はします。
個人的には4.0に限りなく近い時点でかなりの高評価だと思いますが、今後映画を見る人が増えるにつれてまた評価は変わってくるでしょう。
天気の子の評価が低い人のレビュー
天気の子を見た人の中で、評価が低い人のレビューを見てみましょう。
ネタバレなしのコメントをまとめました。
映画.comのレビュー
- ファミリー向けっぽく予告しておきながら性的な表現が多いのはどうなのかな。リアリティを追求した結果かもしれないが、だったら話にもっとリアリティが欲しかった。(評価:2.0)
- 映画を見ていてこれと言った盛り上がりもなくずっと気持ちが平坦なままだった。(評価:2.5)
- ヒロインの陽菜が晴れ女になった理由や必然性がよくわからなかった。(評価:2.0)
- 感動の方程式に当てはめた「君の名は。」の第二弾。それ以上でもそれ以下でもない。(評価:2.5)
Filmarksのレビュー
- 世界は狂っている。乱暴で真っ直ぐで、底の浅いメッセージ、若者の行動に理屈などいらない、という感じ。(評価:2.0)
- とてもキレイな絵だったけど内容は普通。後半は主人公の男の子にイライラした。(評価:3.0)
- 映像はすごく綺麗で劇中歌もよかったけど、騒がれている分期待してしまったなという印象。個人的にはイマイチで、君の名はの方が好き。(評価:2.5)
- 陽奈にしか共感できない。その他は理解できない。(評価:2.1)
Yahoo!映画のレビュー
- 作品全体を通して広告だらけだった。お金払ってる人に広告見せるなんて。(評価:1.0)
- 期待し過ぎていたためか、微妙という感想しか出てこない。主人公がカッコ良くない。随所にオタクっぽい発想があり、これ、どこかで見たシーン、どこかで使われている設定、どこかで見たことあるキャラ設定。全てオリジナリティを感じなかった。(評価:2.0)
- 登場人物の抱える問題の理由などが謎のまま映画が終わるのはどうなのかな。せめてストーリーに大事なところは明らかにしてと思う。そしたら少しは感情移入できるのに。(評価:2.0)
- RADWIMPSのファンだから洋次郎の歌を聴きに行ったと思えば、納得できるけど、映画として?アニメとして?お話として?何も伝わらなかった。(評価:2.0)
cocoのレビュー
- ストーリーはどうも中途半端で煮え切らない感情が残った。だいたい主人公が「選択」する場面になっていないし。キャラもリアルさに欠けてる。
- 前作が最高だったので期待していたけど面白くなかった。無理に収束させた感じ。
- 話の流れが遅くて違和感が浮き彫りに。テレビでやってれば観るけど予約する程でもない感じだった。
- 「個人の欲求を満たすためなら、後先考えず何をしてもいい」というメッセージにしか受け取れなかった。
評価の低い人の意見だと、メッセージ性が低い、ストーリーに必然性がない、登場人物に感情移入できない、既視感がある、広告を出しすぎ、君の名は。のほうが好き、といったものが多かったように感じます!
天気の子の評価が高い人のレビュー
天気の子の評価が高い人のレビューを見ていきましょう。
こちらもネタバレなしのコメントをまとめました。
映画.comのレビュー
- RADWIMPSの曲がかかるタイミングが素晴らしくよかった。(評価:5.0)
- 街の広告・電車や駅・商品名もほぼ実在のものをそのまま再現して驚いた。一度見ただけではストーリーの理解が難しかったので、今度、小説版も読んでみようと思った。(評価:4.0)
- 雨は雨で嫌いではないけれど、晴れ間や降り注ぐ光、夕暮れってこんなにも素晴らしいのだと改めて思った。生きる意味を探す2人、大切なものを引き換えに辛い決断をしなければならない、、、日々ストレスの中で働く私にとって、映像に癒され心が浄化された。(評価:4.5)
- 映画の世界が独立し過ぎていて、吸い込まれやすくて、ある意味落ち着いていて、ある意味荒れ狂っていて。映画が終わる瞬間、なんだか戻ってきたという感覚。ポツンと別世界から戻ってきたという感覚になった。(評価:5.0)
Filmarksのレビュー
- とにかく映像が綺麗でその綺麗さで感動して思わず泣きそうになった。内容も設定も、新海先生らしく、映像が素敵な描写や言葉で紡がれている。(評価:5.0)
- キャラクター、音楽、映像、ストーリー全て最高だった。君の名はに比べてスポットの当たる登場人物が多く、「愛」についてであったり、大人と子供の対比など、前作よりも、テーマ性が強いと感じた。(評価:4.5)
- 一つのものを貫くまっすぐさ、強さと脆さ、何者かになりたい気持ち、東京への憧れ、運命。これだけの要素がたくさんあるから色々な人に共感されるんだろうなと思う。(評価:5.0)
- 普段の何気ない風景や物事、全ての物に意味があり価値がある。自分とはなんなのか、自分の大切な物はなんなのか。観た後に清々しい気持ちになり、そして色々考えさせられ、明日からの生きる活力を与えてもらった。(評価:4.8)
Yahoo!映画のレビュー
- 本作は東京の悪いところがリアルに描かれていて、前半はちょっと息苦しく感じた。だけど、いつの間にか主役の少年の気持ちに同調して、終盤ではひたすら応援したくなった。(評価:5.0)
- 物語には入りやすかったので、子供から大人まで楽しめると思う。(評価:5.0)
- 見終わった後に考えると、疑問点はあるけど、見ている最中はテンポ良く、2時間あっという間だった。前作「君の名は」で感じたデジャヴ感はなく、オリジナルストーリーを楽しめた。(評価:4.0)
- 心に残る美しい映像、頭の中何度もループするRADWIMPSの音楽、ぶっ飛んだ発想・世界観が盛り込まれて面白かった。(評価:5.0)
cocoのレビュー
- 『天気の子』感動の9割はラッドの楽曲と歌詞と使い方。凡百のミュージカルやMVより効果的だった。サントラが欲しくなる。
- 少年と少女のまぶしい物語に、日常の閉塞感を打ち破るような力を感じた。美しい東京の街に見入るが、同時に都会のいやらしさも。音楽との親和性もいい。現実の理不尽にひるまない強さに勇気づけられた。
- 『天気の子』映像は当然スゴイ。花火の所は特に良かった。音楽も、曲は普通に良いし、逆再生ぽいBGMの所とかも面白いなと思った。
- 『天気の子』音楽との親和性は監督自身が、音楽に合わせて映像を作ったとまで言ってる様に見事な調和を見せていて非常にエモい。
評価の高い人の意見だと、音楽が素晴らしい、描写が繊細でリアル、主人公に感情移入できる、テーマ性が濃い、世界観がオリジナル、などの意見がよく見られました!
感情移入ができるのかできないのか、テーマ性が薄いのか濃いのか、物語がありふれているのかオリジナルなのか、天気の子の評価が低い人と高い人では、そのことに関する意見がとても対照的ですね。
天気の子の海外の反応・評価
天気の子はまだ海外で公開されていないので、実際に見た人たちの反応や評価はまだ表に出ていませんが、公開前から多くの人が期待を寄せています。
- グッドエンディングならウェルカムだ。
- 鬱でも好きになる映画になると思う。
- 新海誠はライアンジョンソン(スターウォーズ/最後のジェダイの監督)にでもなるつもりなの?
- 秒速の悲劇を繰り返さないで。
などなど。
天気の子はトロント国際映画祭にも出展されるようなので、海外でもかなりの注目を集めることになるでしょうね。
天気の子のネタバレなしの個人的な感想
天気の子の個人的な感想をネタバレなしで書いていこうと思います!
個人的な評価を述べるなら少なくとも「4.2」はつけると思います。
見ていてとても好きな映画でした。
好きな理由はいくつかあるのですが、一番大きな理由は、主人公の「求めているものを一貫して求める」という行動規範に強く共感を覚えるからだと思います。
物語は、16歳の家出少年の帆高(ほだか)くんが、故郷の田舎を離れ、新宿という大都会を訪れ、そこで陽菜(ひな)という天気を操る不思議な力を持った少女と出会い、あれやこれやといろいろな騒動に巻き込まれていくあらすじになっていますが、その主人公の帆高くんに一貫して見られるのが「求めているものを求める」という姿勢だと思うんですよね。
帆高くんの行動には、目には見えない何かを探していて、それを見つけたときには手に入れるまで(もしくは失わないように)まっすぐに求め続ける、たとえどのような現実的な障壁が待ち受けようとも、というような規範みたいなのがあります。
その規範に僕はすごく吸い込まれるし、励まされました。
僕は天気の子を見た時に、小説「グレートギャッツビー」のジェイ・ギャッツビーや「キャッチャー・イン・ザ・ライ」のホールデン・コールフィールドくんや「海辺のカフカ」の田村カフカくんを思い浮かべました。(知らない人がいたら、ぜひ読んでみてください。)
彼らはみんな目には見えないものを探して、現実的な障壁をくぐり抜けて、その何かを一途に手に入れようとしている人たちです。
天気の子の帆高くんにもそういう行動規範があって、それに僕は引き込まれます。
まとめ
今回は天気の子の評価の低い人や高い人のレビューや海外の反応やネタバレなしの個人的な感想をまとめました。
数値的に見れば、天気の子の評価は高いほうだと言えそうでした。
ただ、評価の低い人の意見と高い人の意見が対照的であるのが印象的でしたね。
ある人は感情移入できるといって、ある人は感情移入できないと言う。物語というのは解釈の自由度が高い分、正反対の意見が出てくるので本当に面白いですよね。
今後、天気の子は、海外でも公開されて、時間が経つにつれ、全体的に合意の取れた総括的な評価に落ち着くでしょう。
世界で今後どのように評価されていくのか、楽しみですね。
