ブレイキングバッド【シーズン3・10話】のネタバレ解説&感想、キャスト、あらすじをまとめています!
文字通りブレイキングバッド【シーズン3・10話】のネタバレ解説&感想なので、まだ内容を知りたくない方は1.2のキャストとあらすじだけ確認して本編をご覧ください。
また独自の着眼点に基づいた解説や感想になっているので、共感する部分や見解が異なる部分が混合してあるかと思いますが、純粋に一致や差異を楽しんでいただけたら幸いです!
※前話のネタバレ解説&感想からチェックしたい方はこちらからどうぞ。
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】のキャスト
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】の主なキャストは2人です。
ウォルターとジェシーしか出ない話は初めてですね。
※前話までのそれぞれのキャストの行動も簡単に書いています。
ウォルター・ホワイト
高校の化学教師。妻・スカイラーと子供・フリンとホリーを持つ一家の主。ガスの思惑に気づき、直接出向いて、今後の契約について話し合う。
ジェシー・ピンクマン
ジャンキー。麻薬の売人。ウォルターの元教え子で麻薬ビジネスのパートナー。自分の取り分が少ないことに不満を持ち、クリスタルメスの製造余剰分をくすねて悪友達と売りさばこうとする。
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】のあらすじ
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】のあらすじを確認しましょう。
ガスの恐ろしい思惑、麻薬カルテルの襲撃、スカイラーを共犯者にしてしまったことなど、自分の想定を遥かに越えた数々の出来事を目前に、うまく心の整理がつかないウォルターはなかなか眠りにつくことができない。そんな中、寝ずに製造所で作業を続けるせいか、神経質にハエの駆除に固執するようになる。あまりの執拗さにジェシーはどうかしちゃったのかと心配するも、ウォルターは意に介さない。ジェシーがいろんな手段を講じて、メスの製造をしようとするが、ウォルターは頑なに阻止する。呆れたジェシーはウォルターの飲むコーヒーに睡眠薬を投入して眠らせようとするが、これがウォルターの後悔と反省と謝罪の気持ちを引き出していくことになる。
ここから先はネタバレを含んだ独自の解説や感想になります。
本編を見る前に内容を知るのは嫌だ!と言う方は、本編をご覧になってからここから先をお読みください。
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】のネタバレ解説
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】の解説ポイントは4つあります。(ネタバレ込み)
10話にはウォルターとジェシーしか登場しませんので、今回はウォルターの心境の変化に着目して解説したいと思います。
※あくまで独自の解説です。
- 自分のしている事の危険性を自覚して眠れなくなり、過度に神経質になる
- 「ハエ=汚染=ガス=排除の対象」という無意識な認識を持つ
- 叶わぬ最期を振り返って後悔する
- 「ハエ=汚染=ウォルター」という認識に変わる?
自分のしている事の危険性を自覚して眠れなくなり、過度に神経質になる
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
10話では、ウォルターが眠れなくなるシーンから物語が始まります。
ウォルターは9話(全話)で、ガスの恐ろしさや麻薬カルテルに自分が狙われていることなど、想像を遥かに越えた物事にまで自分の関与していることが発展しているのを知り、うまく眠れなくなります。
自分と家族の命が巻き込まれていく、引き返せないほど深くはまり込んだ想定外の状況を目前にして、心の整理がつきません。
ウォルターはそのまとまりのつかない不穏な心を抱えながら、徹夜をして、地下製造所でクリスタルメスの製造を進めるのですが、ハエが一匹飛び回るのを目にした途端、狂ったようにハエの駆除に奔走します。
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
ウォルターは外界から強い刺激を受けて、心の整理がうまくできなくなり、恐怖心に侵されると、神経質な性格が過度に表に出てくる傾向があります。
ガンの宣告を受けたときは医者の身頃に付いているマスタードの染みを目ざとく見つけたり、記憶喪失を装い入院した病院から退院したあとハンクにいちゃもんつけて問題を起こしたときは床板の修復に勤しみました。
心が不穏な時ほど目の前の作業に没頭して忘れようとする傾向は誰にもあると思います。
ウォルターの場合、化学者ということもあってか、細かい物質の変化の修復によく心が傾くようです。
ハエの存在を目ざとく見つけて、過度に執着して駆除しようとするのは、そういうウォルターの心の表れでもあるのです。
「ハエ=汚染=ガス=排除の対象」という無意識な認識を持つ
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
ジェシーはハエの駆除に固執するウォルターの行動を理解することができません。
たった一匹のハエくらいどうってことないだろう。駆除に時間をかけているんだったら、早くメスを製造したほうがよっぽど効率がいい、とジェシーは考えます。
それでもウォルターはジェシーに作業をやらせず、一匹のハエがもたらす汚染を侮ってはいけないと力説して駆除の手を止めません。
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
ハエは大きな障害だ。素材が台無しになる。ヤツを殺さなければ製品を作れない。失敗は許されない。失敗したら俺たちが殺される。このままでは俺たちがゴミだめ行きになる。
と語るウォルターの血気にはやるような物言いを目にして、ジェシーは折れて一緒にハエの駆除をするように見せかけます。
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
ウォルターはガスの恐ろしい戦略で暗殺者のターゲットがハンクに向けられたことを知り、
ガスは想像以上に頭がキレて、やろうと思えばいとも簡単に家族を殺すことのできる凶暴さを兼ね備えている、このまま行けば自分も家族も1つの手駒として扱われてしまう、と頭の中で強く思ったことでしょう。
- ガスは侮ることのできないほど害をもたらす危険人物
- ハエはたった一匹でも汚染をもたらす外敵
上のガスへの新しい認識がハエに投影されて、下のハエの誇張した認識を促し、「ハエ=汚染=ガス=排除の対象」という連想に結びつけ、ウォルターを必要以上にハエの駆除に駆り立てるのです。
ウォルターにとってハエの駆除は、言い換えて見みればガスの排除でもあるのです。
叶わぬ最期を振り返って後悔する
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
しかし、ジェシーにはそんな心のうねりなど全く理解できず、ただただ奇怪な行動にしか見えません。
ジェシーはハエの駆除に協力するようにみせかけて、ウォルターの目を盗んでコーヒーの中に睡眠薬を投入します。
ウォルターはそれに気が付かず、コーヒーを口にします。
ジェシはー睡眠を誘発するために、おばさんがウォルターのようにネズミの駆除に躍起になって、業者に頼んで駆除してもらったにも関わらず、まだネズミがいると信じて疑わなかったこと、そしてその後、脳にガンが発症したことが分かったことを語り出すも、
ウォルターは話を聞いて、私は定期検査に行ったが健全だ、と反論したあとで、機会を逃した、と語り始めます。
私の死期のベストタイミングはいつだったんだろう、と。
そして過去を振り返って、この時か、いや違うな、この時だ、いや違う、と候補を次々に口にしていきます。
要するにウォルターは、スカイラーに自分の犯罪を知られて失望される上に、麻薬カルテルという大きな犯罪組織が動いてハンクの命が危険にさらされる、今の状況に自分が陥るなんて微塵も想像していなかったんです。
だからこそ、自分の死期を逃したという後悔が生まれて、自分のベストな死期がいつだったかを考え始めてしまうのです。
家族に残す金が十分たまり、ホリーも生まれて、スカイラーにまだ自分の犯罪を知られていない時を記憶の中に探した結果、ウォルターはジェーンにお金を渡しに行く前にテレビの前の椅子に座っていた時だと確信します。
そしてあのとき死ぬことができたら完璧だったと、かなわぬ最期を思い浮かべて後悔をします。
「ハエ=汚染=ウォルター」という認識に変わる?
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
ジェーンの話が出た時、ジェシーは急に聞く耳を持ちます。
ウォルターはジェーンの父親に偶然会ったあの夜のバーの出来事を話し出します。
ジェーンの父親が事故を起こしてニュースに取り沙汰されるようになって初めて、バーの男がジェーンの父親であることを認識した、と。
そこであの日の夜のことをまざまざと思い出します。
あの日の夜たまたま入ったバーの隣の席にジェーンの父親がいたこと、そして父親に家族を諦めるなというアドバイスを受けて、ジェシーの家に再び訪れてジェーンを見殺しにしたこと、その結果、娘の死にショックを受けたジェーンの父親は事故を起こしてしまったこと。
それら偶然の連なりを改めて思い起こして、ウォルターはただただ驚くばかりです。
宇宙は偶然の産物だ。この世に必然などない。カオスだ。小さな分子が漫然と衝突を繰り返す。これは科学の示す真理だ。でもその意味は?偶然の意味は?運命のいたずらか?
と独り言のように語ったあとで、ジェーンにお金を渡す前がベストな死期だったと思い当たるのです。
そしてその時に死んでいたら、ジェーンを見殺しにすることもなかったんだと反省します。
ウォルターの眠気が強くなっていく一方で、ジェシーはジェーンの話を聞いてからハエの駆除を自ら進んで行うようになります。
ウォルターは朦朧する意識でジェシーにジェーンのことを謝ります。ジェーンのことは本当にすまないと思っていると。
ウォルターがジェーンを見殺しにしたことを知らないジェシーは、ジェーンが死んだのは誰のせいでもない、ただ自分を受け入れるしかないんだ、と言葉を返します。
そして、ウォルターがもう降りて製造をしようと言うと、ジェシーはすかさずハエは?汚染はいいのか?と聞きます。
ウォルターはどうせ全部汚れていると言って眠りにつきます。
引用元:Youtube公式チャンネル「Breaking Bad & Better Call Saul」
その後、ジェシーがハエを叩き落として製造を終えると、ウォルターは自宅に帰り、ベッドに横たわり、上の赤いライトにとまるハエの黒い影を見つめます。
つまり、自分自身がハエであり、汚染している存在であることを認識し、排除ではなく受け入れるしかないことを知ったのです。
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】のネタバレ感想
ブレイキングバッド【シーズン3・10話】を視聴してみて、ジェシーの心の中にジェーンへの想いがはっきりと残されていることが分かるシーンがあって嬉しかったです。(ネタバレ込み)
- 赤い口紅のついたタバコの吸殻
赤い口紅のついたタバコの吸殻
ジェシーが車から降りる時にタバコの吸い殻入れの中に、ジェーンの口紅がついた吸い殻を見つけて、見つめるシーンはよかったです。
口紅のついたタバコの吸い殻、というのがセクシーさと不健康さをあわせ持つジェーンの人となりを象徴しているようにも見えるし、ジェシーの儚く消えた夢の痕跡を表現しているようにも見えます。
とても印象深かったです。
